散骨の歴史
一般的に人が亡くなると、火葬し、お骨をお墓に埋葬するのがここ何年もの間当たり前とされてきました。
しかし近年ではお墓を持たない、墓じまいをする、といった選択をされる方が増え「散骨」が一般的になりつつあります。
散骨とはお骨を粉骨しパウダー状にして、撒いて自然に還す事を言うのですが。一口に散骨と言っても、海に撒く海洋散骨、木々に撒く樹木散骨、宇宙へと撒く宇宙散骨など様々です。
ここまで書くと、まるで散骨は、つい最近広まったかのようですが決してそんなことはありません。
散骨の歴史は古く、なんと万葉集の時代には既に散骨が行われ、人の死を悼んだ歌が詠まれていたそうです。
他にも淳和天皇(在位823~833年)は飾り立てることを好まず、亡くなった後も周りに迷惑をかけたくない、無駄を省いて簡素な葬儀にして欲しいと希望したそうです。
確かにこの時代の偉い方のお墓は今世紀にも古墳として残る程大変なものでした。
お墓を作るために人民は狩り出され貧しい思いをしていたのです。
これはまるで現代の墓じまいと非常に似ていませんか?
親世代が残された子や孫達に迷惑をかけたくない、墓の維持費などの費用をかけたくない。
淳和天皇のお骨は粉骨し大野原に散骨したそうです。
一時は葬儀やお墓にお金をかけたり人手をかけたりして派手に弔っていたものが見直され、薄葬化されていきます。
それは現代でも同じことが起こっているように思いました。
歴史を辿っていくと同じような事が繰り返されていると感じることがあります。
どんな時代でも、死というものは順番に訪れます。
お墓や弔い方が簡素だからといって良い悪いではなく、残された者の気持ちが大切なのではないでしょうか。
また、自分自身も淳和天皇のように亡くなった後にこうして欲しいと、希望を伝えておくことは大切な事だと改めて感じました。
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